抗菌剤で虫歯菌を全滅!
抗菌療法について
虫歯の治療法の一つに、抗菌法があります。
難しい名称でいうと、病巣無菌化組織修復療法といいます。
この名称でもわかるように細菌を殺す3つの抗菌剤とマクロゴール・プロピレングリコールの軟膏を使って病巣を無菌化し、無菌化された病巣は治ることを邪魔するものが無くなるので、組織修復が起こるという本来の歯髄の自己回復力を生かした治療法です。
麻酔注射など使わず痛くないという大きなメリットがある薬で治す歯科治療法です。
虫歯が、細菌によって引き起こされることは以前から分かっていました。
実験室内のお話ですが、完全に菌をなくした特殊な状態の中で、マウス(ネズミの仲間)を育てます。エサに虫歯を誘発する飼料を与えます。
その環境下ではマウスは虫歯になりません。しかし、同じマウスを普通の実験室に移すと、そのマウスはたちまち虫歯になるのです。
人の口の中でも無菌化状態であれば、虫歯菌が繁殖しないという事です。
また、口の中の細菌は、数十種類が存在し、おなじみのミュータンス菌も何種類かあります。虫歯は単純にひとつの菌で起こるのではなく、複数の菌が関連していると考えられており、1980年代になってから、虫歯の原因として嫌気性菌と言われる菌群が注目され出しました。
虫歯の原因菌はミュータンス菌だけではなかったのです。
この嫌気性菌たちに対し、メトロニダゾールと言う抗菌剤が特効薬のように効く(実験によれば、99.5%の嫌気性菌を除菌できます。)ことが分かり、応用され始めました。
実際の治療では効果を増すために、数種類の抗菌剤を混合させます。
治療方法

- むし歯になっている歯の表面のエナメル質、そして細菌に冒された象牙質を一部取り除きます。
- むし歯(細菌に侵されている)の部分を消毒し、水分を取り除きます。
- 薬剤を歯の中にもらさないように注入します。
- むし歯の一部は殺菌するのを期待して残し、セメントでふたをします。
- つめ物をかぶせて、様子を見ます。
- 歯の自然治癒力でカルシウムが沈着し、再石灰化します。
- 症状が軽快しない場合は通常の術式に従って、抜髄になる場合もあります。
この治療法は、ケースを選べばすごく効きます。
でも、すべての歯にできるわけではありません。
人の口中の完全な除菌は不可能です。
細菌の数を減らすことは出来ますが、あなたの口の完全無菌の状態を作ろうと思うと、歯ぐきや頬の粘膜は大きなダメージを受けてしまいます。
一番大切なのは、こまめな歯磨きです。